看護ケアに必要な体位交換、体位ドレナージの考え方
今回は「看護ケアに必要な体位交換、体位ドレナージの考え方」について記載していきますね。
あなたは、ケア職として体位交換や体位ドレナージを行ったことはありますか?
褥瘡予防に必要な体位交換、痰の貯留をしないように行う体位ドレナージですが、必ずしもルーチンに行う必要がない場合があります。
看護ケアを行う時、メリットに注目しがちですが、何かを行うということはデメリットも考えなければいけません。
今必要な看護ケアを適切に提供する必要があります。
では、
経管栄誉中の患者さんに体位ドレナージの必要性があった場合、どう判断する?
褥瘡予防の体位交換。夜間寝ている時も、必ず行うべき?
人工呼吸器患者さんの体位交換。どう判断する?
解説していきましょう!
経管栄誉中の患者さんに体位ドレナージの必要性があった場合、どう判断する?
結論から言うと、絶対これが良いという答えはないと考えます。
経管栄誉中の患者さん一人一人の状況が、同じではないからです。
必要な患者さんもいれば、いらない患者さんもいる。
さらに言えば、できる患者さんもいれば、できない患者さんもいるということです。
どういうことかというと、体位ドレナージだけの焦点をあてれば、確かにできます。
ですが、メリットもあればデメリットも当然あります。
大事な視点は、
”今、体位ドレナージを行うべきなのか?”
この考え方が大事です。
実際に必要だと判断された場合、メリットとデメリットを考えていく必要が出てきます。
デメリットとしては、
・誤嚥のリスク
・どの程度、栄養が胃に入ったか
・胃の機能的な部分はどうか
・嚥下反射が強いのか、ないのか
・過去に嘔吐したことはあるのか
などの情報をまとめながら、患者さんの全体像をとらえていきます。
また、嘔吐しやすい疾患もあるので、知識の整理も必要になります。
胃内容の停滞が起こりやすく、嚥下反射が強い、嘔吐したことがあるなど、明らかに誤嚥リスクが高い場合には、デメリットが強いと判断します。
今行うのではなく、時間の経過を見ながら看護ケアを提供していくことが良いと判断されることもあります。
何を言いたいのかというと、メリットに注目して、ルーチンに看護ケアを提供せずに、患者さんの状況に合わせてアセスメントが必要です。
また一人で判断せずに、看護チームで相談して、いかに安全に看護ケアを提供できるのかという視点で、考えていくことが大事になります。
褥瘡予防の体位交換。夜間寝ている時も、必ず行うべき?
慢性期病棟では、自力で体位交換ができない患者さんが多くいます。
私が働いている病棟も、8割ぐらいは体位交換が必要な患者さんがいます。
じゃあ、褥瘡予防のために体位交換を時間毎に必ずしなければいけないのでしょうか。
これも、必ずしもルーチンで行わない場合もあります。
例えば、不眠を訴える患者さんで、夜間は休みたいと訴えがあったとします。
ただし、自力で体位交換を行うことは難しい状態です。
私はどうしているのかというと、患者さんと夜間の体位交換について、一緒に考えます。
といっても、患者さんに全てゆだねるのではなくて、褥瘡予防の視点も交えて提案していきます。
基本的には体位交換を行い、体全体を大きく動かして、除圧できるようにしていきますよね。
ただ、これだと覚醒する可能性が高まります。
なので、一つの考え方としてスモールチェンジを行います。
これは、最小の動きで体位を変えるという方法になります。
色々な考え方がありますが、消灯時にどちらかの向きで体位交換を行います。
その次の4時間後に、体交枕を外してあげます。
これで側臥位と仰臥位を行ったことになります。
しかし、これも全ての患者さんに適応にはなりません。
低栄養で褥瘡リスクが高い患者さん、既に褥瘡が発生している患者さんなど、適応できない場合もあります。
患者さんの状態を把握し、メリットとデメリットを総合的に考えた上で、看護ケアを提供していくことが大切になります。
人工呼吸器患者さんの体位交換。どう判断する?
では、体位交換を行う上で、状況を変えて考えてみますね。
人工呼吸器患者さんの体位は、どう管理していくのかを迷う場面がありますよね。
褥瘡予防、体位ドレナージ、VAP予防など、総合的に考える必要があります。
ヘッドアップ30°以上の管理を行うことで、誤嚥によるVAP予防につながります。
しかしながら、ヘッドアップ30°を継続すると、褥瘡予防には、あまり効果的ではありません。
なぜかというと、仙骨部の圧迫、摩擦やずれが影響して褥瘡リスクが高まるためです。
人工呼吸器患者さんは、全身状態が悪いことが圧倒的に多いので、皮膚トラブルも容易に起きてしまうのです。
なので、総合的に判断することが大切です。
といっても、看護師だけで判断するのではなくて、多職種とともに、様々な視点で患者さんを考えていくことが重要です。
患者さんの意識がある場合には、日中と夜間のリズムをつけるために、夜間は休んでもらえるような体制も一つですし、体位ドレナージの必要性が高い場合には、体位ドレナージの時間を長くすることもあります。
患者さんの状況は変化するので、その都度、検討していくことが、患者さんの最善なケアにつながるのではないかと考えます。
いかがでしたでしょうか?
なんでもそうですが、患者さんに合わせて適切な看護ケアを提供するのが、大前提です。
メリットとデメリットについても、しっかり考えていく必要があります。
どんなケアもそうですが、ルーチンに行うのではなくて、アセスメントをして根拠を持ってケアを提供することが大事です。
一つ一つのケアのメリットとデメリットを理解した上で、看護ケアを提供していきましょう。
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